Saúde

「夜スマホ」が招く眼病

 

■ 朝の赤目

 

 スマホやパソコンを見続けていると、目は充血してショボショボ。視力もボヤケがち。市販の目薬を差しても、あまり症状は改善されず、布団の中でスマホを見続けた翌朝には、目がチカチカして痛む。鏡をのぞくと目は血走って赤目。これって単なる目の疲れ?  それとも深刻な事態? 

 

 ドライアイ治療のスペシャリスト・後藤眼科医院(神奈川県鎌倉市)の後藤英樹院長が指摘する。

 

 「一晩ゆっくり眠って目の調子が回復するならば、単なる『疲れ目』。眠ったり休んだりしても、目の痛みやかすみなどが改善しないのは『眼精疲労』。疲れ目が慢性化した状態です。目の症状だけでなく、頭痛や吐き気なども伴うことがあり、放置しておくと、肩こりや首の痛み、全身のだるさ、イライラなどの症状も重なり、悪化します。眼精疲労は疾患なので健康保険で診療できます。朝起きたときに、目が充血して調子が回復しないようならば、眼科の受診をお勧めします」

 

 眼精疲労の影には別の病気も潜んでいる。スマホなどを見続けて起こりやすいのは「ドライアイ」。人間は、無意識のうちに1分間に平均14回のまばたきをするが、「スマホなどに熱中していると、1分間に5回程度までまばたきは減ってしまう」(後藤院長)。
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 まばたきの回数が減ると、涙の量は減り、目の表面の角膜や結膜が傷つく。さらに、目が乾燥するだけでなく、目に必要な栄養分の補給や目の修復の妨げにもなるそうだ。長時間のパソコン作業やスマホの使用、コンタクトレンズの装着、エアコンなどは、ドライアイを進行させやすいので要注意。

 

■ スマホは”小さな太陽”

 

 日常生活にスマホが浸透し、プライベートな時間だけでなく通勤途中でも、四六時中スマホ漬けという人は珍しくはない。スマホだけでなく仕事などでパソコンを使用していると、まばたきが減ってドライアイ、さらには眼精疲労になるだけでなく、画面のバックライトのLED(発光ダイオード)から放たれるブルーライトの影響も受ける。

 

 「ブルーライトの人体への影響は研究が始まったばかりで、まだはっきりしていないことは多い。ただし、そもそも人間の歴史上、光源の光そのものをこれほど近くで長時間見つめるようなことが少なかったでしょう。そのため、目への光の影響が心配されているのです。ブルーライトを多く含むLEDディスプレーの機器は、いわば『小さな太陽』のようなもの。夜間の長時間の使用で不眠が引き起こされるなど、生体リズムへの影響にも注目が集まっています」(後藤院長)。

 

 ブルーライトの研究成果は今後を待つとしても、小さな太陽を見続けることでの目や身体への影響は懸念されている。かすみ目や視力の低下、充血の影で、ブルーライトの暴露も増加。目から身体の不調が引き起こされている場合もあるため、「単なる疲れ目」と勘違いしてはいけない。

 

■ 2倍離れるとブルーライトは4分の1に

 

 ドライアイや眼精疲労、ブルーライトの影響を防ぐには、スマホなどの端末を見続けないことが大切。といっても、現代社会の便利なツールだけに、わずかな時間でも手放せない人はいるだろう。

 

 「ブルーライトについては、『カットフィルター』や『ブルーライトグラス』を活用して、低減するように努めましょう。光のエネルギーは、距離の2乗に反比例するため、目からの距離を30センチから倍の60センチにすると、4分の1に低減することが可能です。画面の明るさも最大輝度からかなり下げても、目で見たときの確認のしやすさの『視認性』は確保できます。まぶしい画面に目は慣れやすいので、意識して輝度を下げるようにしましょう」

ドライアイの症状

画面を直視することが原因となる眼精疲労は、眼球を動かす筋肉疲労が関与している。後藤院長が、2007年に花王のヒューマンヘルスケア研究センターと共同で行った研究では、眼精疲労やドライアイの症状がある人に対し、「40度の蒸しタオルで10分間」温めた研究を行ったところ、ピント調節力やドライアイが改善した。

 

 「目を温めることで、筋肉のコリをほぐし、涙の蒸発を防ぎ、自律神経をリラックスさせるといった効果が期待できます。仕事でのパソコン作業や、スマホを使用した後などに、『10分間の蒸しタオル』を試してみてください。ただし、まぶたは皮膚組織が弱いので、やけどをしないように注意しましょう。蒸しタオルが面倒なときには、市販されている目を温めるグッズも活用可能です」(後藤院長)。

 

 画面の強い光を防ぎ、疲れた目の筋肉は温める。これならば長時間の携帯端末の使用も怖くない。と言いたいところだが、やはり、四六時中はよくない。

 

■ ”ノースマホデー”を設けよう

 

 「ITの発展で目を使った働き方が主流となり、目からの情報の取得の重要性は増すばかりです。目と脳への情報の氾濫、目の酷使の流れは、当面、続くと思われます。この状況下で、目だけでなく身体への負担は、予防策を講じても完全に防げるものではありません。スマホなど携帯末端との付き合いには節度を持ち、さらには意図的に自然に触れることによって、目も身体も休ませる必要があるのです。私自身も、携帯端末は文明の利器として便利に使用していますが、月に1日でも『ノースマホデー』、寝る前の数時間は必ず『ノースマホタイム』を設けるよう心掛けています」(